「#猫バカ部」「#犬のいる生活」「#petstagram」――自慢のペットの魅力を伝えるため、特定のハッシュタグ(#)を写真につけてSNSに投稿する動きが広がっている。
写真共有アプリ「インスタグラム」で「#ふわもこ部」と検索すると、550万件以上がヒット。ハムスターやインコなどの可愛らしい写真がずらりと並ぶ。
愛犬家である記者も、彼・彼女らの輪に加わりたい......が、カメラの腕に自信がない。そこでJ-CASTトレンドでは、ペット専門の写真家で書籍も多数出している小川晃代さんにインタビュー。小さな「家族」の魅力を鮮やかに切り取る撮影テクニックを聞いた。
ペット撮影は「遊びながら」
――まず初めに、ペトグラファーとはどんな職業なのでしょうか
「ペットとフォトグラファーを組みあわせた造語で、私が考案しました。カレンダーやカタログなどに登場する動物たちを専門に、これまで3万匹以上撮影してきました」
――人や物が被写体の時と比べ、ペットならではの難しさはありますか
「ペットとは会話ができないので、狙ったポーズや表情を撮るのが難しいですね。無理やりやらせてしまうと良い顔をしてくれませんし、カメラ嫌いになってカメラを向けてもそっぽを向かれてしまう場合もあるんです」
「なので、撮影時にはペットとコミュニケーションをとりながら、ペットにとって『楽しい時間』にしないといけません」
――具体的にはどんな工夫をしているのですか
「カゴや麻袋といった小物やおやつを用意して撮影に臨んでいます。ネコちゃんならねこじゃらしを用意したり、ワンちゃんならジャーキーをあげてパクパク食べているところを撮ったりして、遊びながら撮影することが多いです」
「また、ペットの性格を考慮することも大切です。ねこじゃらし1つとっても、ネコちゃんによって好きな素材が違う場合もあったりするので、なるべくたくさんのグッズを試してみて、その子にあったものを見つけましょう」
一眼並みのショットがスマホで
――カメラはやはり一眼がベストなのでしょうか
「スマホでもまったく問題ないです。むしろ、大きい一眼を怖がって、近づけると逃げちゃうペットもいるんです。スマホくらいのサイズであれば、恐怖感を与えることなく自然体で撮れるメリットがあります」
「それと、ペット撮影の醍醐味に『予想外の写真が撮れる』ことが挙げられますが、スマホであれば常に持ち歩けて瞬時に構えられます。一眼は持ち運びが不便なのがネックになってしまうので...」
――スマホで良く使うテクニックはありますか
「私はXperiaを使っているのですが、『追尾オートフォーカス』は重宝しています。元気なワンちゃんとかだとずっと動き回って撮影が大変なのですが、この機能は常に被写体にピントを合わせた状態で連写できます」
「それとあわせて、シャッターを押す直前の写真を自動保存してくれる『先読み撮影』機能を使うのもおススメです。『いまだ』というタイミングを逃しても、直前の画像を3枚まで保存してくれるので、ベストショットが撮りやすくなります」
「少し難易度は上がりますが、明るさや色温度の補正を活用すると、グッとレベルが上がります。例えば、あえて青みを強くして朝の雰囲気をだしたり、屋外では赤みを強くして夕日の感じをドラマチックにしたり......。マスターすれば写真の幅が広がります」
SNS映えするショットはこの2つ
――「SNS映え」するショットを教えてください
「キャッチライトを星やハート、魚の形にすると驚かれるかもしれません。厚紙や発泡スチロールを好きな形に切ってレフ板代わりに使うと、ペットの瞳にその形が映りこみます」
「『流し撮り』もぜひ挑戦してみて下さい。スマホでもできますよ。1/60秒から1/125程度のシャッタースピードに設定して、動き回るペットを追いかけるようにカメラを動かすと、流れるような背景でスピード感があふれた写真が撮れます」
小川晃代
1980年生まれ。動物やペット関連に特化した制作会社「アニマルラグーン」の代表。 トリマー、ドッグトレーナー資格をはじめ様々な動物資格を保持し、ペット専門のフォトグラファー:ペトグラファーの第一人者で今までに撮影した動物は3万匹以上に及ぶ。 写真教室やスマホの撮り方講座の講師をはじめ、ペット雑誌の編集長やペット番組のディレクター、ペットモデルのコーディネート等その活動は幅広い。 著書には「ころころマンチカン」「いぬのココロがわかる本」「ねこのココロがわかる本」(ぶんか社)、「ねこもふ。ごーじゃす」(宝島社)、「ペトグラファーが教える ペットの可愛い撮り方」「ねこの撮り方まとめました!」(日本カメラ社)、「手乗りねこ」(宝島社)他がある。