プロ野球で活躍した星野仙一さんが4日(2018年1月)、死去した。「燃える男」のニックネームでファンを熱狂させ、監督になると、あるべきリーダー像として「理想の上司」のランキング上位の常連となった。まだ70歳、その死を惜しむ声はいまもやまない。今回は星野さんの人間学、残した言葉、長嶋茂雄さんと王貞治さんとのエピソードなど3冊を紹介したい。
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部下の能力を引き出す闘将のセオリー
マウンドでは闘志をむき出しに、ベンチでは指導のための鉄拳制裁を躊躇しなかった。「闘将」と呼ばれコワモテのイメージがある一方で、冷静な判断と情に厚い一面を持っていた。
『迷ったときは、前に出ろ!』(著・星野仙一、青志社、1296円)は、人間・星野仙一スタイルのいき方と実践を説いたものだ。本人自身、「本書は、私がプロ野球の監督業を通して培ってきた『部下の能力を引き出す技術』や『指揮官としての自己プロデュース』、そして『家庭のあり方』について話したものである」と語っている。
「次に頑張りたくなる叱咤と励まし」や「一歩上を目指すためのセオリー」のほか、最終章には「家庭を愛することができる人」をあげている。愛妻家だった星野さんにとって、それが一番大切なことだったかも知れない。
「キャスター星野仙一」とON対談
『ONの"メッセージ"』(著・星野仙一、長嶋茂雄、王貞治、ぴあ、1620円)には、「NHK『サンデースポーツ』司会 星野仙一『長嶋茂雄×王貞治 対談』完全版」と副題があり、「レジェンドたちが伝えたい野球への愛。」とコピーが添えてある。
本書は2015年にマンスリーキャスターだった星野さんの呼びかけで実現した「長嶋×王対談」を書籍化したものだ。いまだからこそ話せる秘話や出会いからの対決、引退や監督としての人生など語り合っている。目次は「ON誕生」「ONとライバルたち」「引退」「監督としてのON」など。特別インタビューやコラムもある。
星野さんは1985年に始まったNHKのスポーツ番組「サンデースポーツスペシャル」の初代のキャスターで、当時もさわやかな笑顔でお茶の間の人気だった。
心に刻まれた一流アスリートの名言集
「たった一つのコトバにも、人生を変えるチカラがある。そこで。膨大な量の取材ノートをひっくり返し、心に刻まれた珠玉の名将たちのコトバを拾ってみた」(はじめに)
『一流コーチのコトバ 「リーダーに大事なことはブレないこと」』(著・松瀬学、プレジデント社、1404円)は、運動部記者だった著者が各分野の一流のコーチやアスリートら47人から得た名言集だ。スポーツ関係者だけでなく、経営者やビジネスマンなど誰もが元気をもらえる1冊だ。
最初は星野仙一「監督は孤独を愛さないといけない」。以下、「大事なのは、ぶれないことです」(A・ザッケローニ、サッカー)、「一意専心、競技に挑みます」(葛西紀明、スキージャンプ)、「大外強襲があってもいいかな」(清宮克幸、ラグビー)、「やりたいことはやる」(白井健三、体操)などなど。