「47歳国立大学教授の手取りは約700万円。高い?安い?こんなもん?」――北海道大学法学部の吉田広志教授が2018年1月18日、ツイッターで17年度の源泉徴収票を公開した。
給料の額面(973万円)から、所得税や社会保険料などを差し引いた手取り額は「695万円」。この額をめぐり、インターネット上で様々な声が渦巻いている。
40代ビジネスパーソンの2倍
「先生...安すぎです(涙)」
「びっくりしました。こんな低い給料、人才は流出しますよ」
「本人の実績が分からないとなんとも言えないかと。ちゃんと成果出してる方なら安いし、ろくに実績ない方なら、高いと思います」
「一概に安いとは言えません。民間の中小企業はもっと酷いです」
吉田教授のツイートには、こんな声が寄せられている。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2016年)によると、大学教授(男性、45~49歳)の平均年収は約1052万円。40代ビジネスパーソンの平均年収(541万円、転職サイトDODA調べ※)の2倍にあたる。
吉田氏のツイートでは、上記の額に加え、「原稿料や講演料、本を書かれている先生は印税が入ります」という。
私大への人材流出につながる
所得を公表した教授は他にもいる。京都大学法科大学院の高山佳奈子教授(49)は14年7月、自身のブログで前年度の源泉徴収票を公開した。給料の額面は939万円、手取りは673万円でこちらも当時話題を集めた。
高山教授はそれから2年後の16年4月、ニュースサイト「IRONNA」で、「私が京都大学の給与明細を公開したホントの理由」との手記を寄せ、
「現在の国立大学教授の給与が高いか低いかは、国内・国際の競争の中で、人材を確保できる水準に照らして評価されなければならないと考える」
と主張。国立・私立大で待遇の「格差」が存在するといい、「東大・京大を始めとする国公立大学から、有力私立大学への人材流出が顕著に起こっている」。
続けて、
「現在のように教員の流出が続くと、東大・京大では60代前半の有力教授がいなくなってしまい、研究者として円熟期にある人々が後進を育成できなくなる。トップレベルの教授が私大に分散してしまった後は、最高水準の学生は国外に流出するのではないだろうか。これで、国益が維持できるといえるのか」
と危機感を訴えていた。
※16年9月~17年8月の期間、「DODAエージェントサービス」に登録しているホワイトカラー系職種の正社員男女29万件から算出。