定年後こそ次のステージへ 知恵と経験を生かす働き方

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企業の「大型客船」から個人ジェットの時代へ

   インターネットの普及により企業内部の業務を中小企業やフリー・エージェントに仕事を頼むことが当たり前になっている。イノベーションにおいてもオープン・イノベーションが当たり前になってきた。投資家の投資先も会社の株式よりもプロジェクト志向になっている。組織の管理職の仕事も部下の管理から映画のプロデューサやスポーツチームの監督のようなプロジェクト・マネジャーに転換していく。

   いま、AIを活用したビジネス、iPS細胞に代表されるバイオ技術をはじめ幅広い分野で新たな技術を生かしたビジネスが活発に生まれている。

   知識や技術を駆使する立場の人間とそれを支える人間。さらにはそうした流れと関係の希薄な地域や人々。先進国、新興国を問わず智恵の有無が経済力の格差を生む。大企業と関連企業という大型の客船の時代から個人ジェット機の時代だ。

   経済学は社会科学であって自然科学ではない。価値判断を伴う。マルクス主義にもとづく社会主義経済が破綻してから、経済学において価値判断を伴う研究や議論が低調になっているが、アダム・スミス以来、経済学の歴史には哲学的思想が長年伴走していた。

   イスラエルの歴史家ユヴァル・ハラリ博士は、日本でもベストセラーになっているサピエンス全史についで、2016年にホモデウスを著し、これから百年の世界を展望している。本書が20年前にアメリカ社会に働き方の警鐘を鳴らし、ホモデウスが未来社会の人類の価値規範を提示したように、日本でも、社会の価値規範への論考、提言が活発になされることを期待したい。

経済官庁 ドラえもんの妻

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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