米アマゾンは2018年1月22日、西部ワシントン州シアトルで、レジを置かない食料品店「Amazon Go」の1号店を開店した。
Amazon Goは2016年12月に発表され、社員向けに試験運行、2017年前半のオープンを目指すも遅れていた。
カメラ、センサーで常時監視
Amazon Goの特徴は、店舗入り口に改札のようなゲートを設けた点と、店内にセンサー、カメラを設置した点だ。
買い物客はまず、Amazon Goの専用アプリをダウンロードする必要がある。クレジットカードと紐づいたアマゾンアカウントを登録するとQRコートが発行され、それを入り口のゲートにかざし入店する。
買い物中は、天井のカメラと棚に設置されたセンサーが買い物客を追尾。商品を手に取ると「購入した」とみなされ、棚に戻すと「未購入」となる。
買い物が済めばあとはゲートを通過するだけ。買い物代は自動的にクレジットカードに請求される。
運営は無人とまではいかず、アルコール類の年齢確認や品出しをするスタッフが数人常駐。営業は平日7時から21時まで。
カメラやセンサーの精度面が気になるが、米テレビ局「CNBC」がAmazon GoのGianna Puerini副社長にインタビューしたところ、「(商品の誤認識は)滅多に起きない」とコメント。万引きはもちろん、購入商品が精算されていないといったトラブルも少ないようだ。
日本でも期間限定店がオープン
ネット通販のガリバーが実店舗への進出を加速させている。皮切りとなったのは、2015年にシアトルにオープンした書店「Amazon Books」だ。
「Amazon Go」同様、「Books」にもIT企業ならではの視点が生かされている。例えば、店内のスキャナーやスマホの専用アプリで本を読み取ると、アマゾンでのレビューが確認できる。有料サービス「Amazon Prime」の会員であれば非会員より安く買える特典も用意した。18年1月23日現在では、マンハッタンやサンタモニカなど米国内に13店舗展開している。
日本でも2017年7月、東京・六本木に「Amazonプライム ポップアップストア」が期間限定でオープンした。
会場では、Amazon Prime向けに提供される特典やサービスを体験できるブース――ソファーでくつろぎながら映像配信の「Prime ビデオ」を楽しめたり、生鮮食品の宅配サービス「Amazonフレッシュ」で注文可能な食品を試食したり――を用意した。
それではなぜ、ネットを主戦場にしてきたアマゾンが"二兎"を追いはじめたのか。英BBCでは、アナリストの言葉として、
「Amazon Primeのブランド認知向上や加入促進のために実店舗を利用している」
と伝えている。