石ノ森作品の潜在能力の高さがわかるマンガ評論
"天才"と謳われる一方で、1970年代以降の作品は"つまらなくなった"とも言われるこれまでの一面的な評価を覆し、マンガという表現形式の多様性とその可能性を晩年まで追求した意義を再評価する『石ノ森章太郎論』(著者:山田夏樹 青弓社 2,160円)。「二級天使」「龍神沼」「幽霊少女」「サイボーグ009」「マンガ家入門」などの作品はもちろん、後期の「仮面ライダー」「HOTEL」「マンガ 日本の歴史」なども含め、石ノ森作品をおもしろさや手塚治虫との関係、当時のマンガ界の状況などを紹介。
「マンガとは何か―その表現形式と身体性」「流動的身体のせめぎ合い―『リボンの騎士』と『二級天使』」「創る者/創られる者―『サイボーグ009』における『神々』との闘い」など全5章。作品図版が多数納められているのもうれしい。