「TENGAグループを支える第2の柱に育てたい」――こう力強く話すのは、TENGAヘルスケア代表取締役の鈴木雅則氏だ。
同社は、TENGAの社内ベンチャーとして2016年11月に設立。「性の悩みや問題のない社会へ」をビジョンに事業を展開する。
アダルト分野のイメージが強いTENGAだが、なぜ新たな挑戦に踏み切ったのか。設立の背景を取材した。
別会社設立で「本気度」をアピール
TENGAはもともと、事業の中心である成人用玩具の開発や販売とともに、障害者支援や医療支援をCSR(企業の社会的責任)活動の一環として行ってきた。
「TENGA社は『性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく』というコンセプトを据えていて、この『誰もが』という部分を大切にしています」(鈴木氏)
具体的には、2005年ごろから手が不自由な人でもTENGAを楽しめる「カフ(自助具)」の開発や、射精障害の研究支援を行ってきた。16年春には「医療部」を新設し、本腰を入れ始める。
そこで同年11月、性的に健康な状態を指す「セクシャルウェルネス」の向上を目指し、TENGAヘルスケアが誕生した。
事業分野は「医療」「福祉」「教育」の3つ。社員は現在も数名と少数ではあるが、外部の医療機関やNPOと連携しながら研究や開発にいそしむ。
なぜ社内の一事業部をわざわざ切り離したのか。その理由について、鈴木氏は
「TENGAはアダルトグッズの会社というイメージが強く、ドクターなどと連携する際に障壁となってしまう面がありまして......。別会社を立ち上げることで社内外へ『TENGAはヘルスケアに注力するんだ』ということを強くアピールできればと考えました」