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「戦争は不治の病であるかもしれない」

   また、本書の主要参考文献の1つに、高坂正堯氏の「海洋国家日本の構想」(中央公論新社)があげられている。この本については、2012年11月8日掲載のこのコラムで紹介した。

   最近、絶好調の中公新書では、この高坂氏のもう1つの不朽の名著「国際政治―恐怖と希望」が、2017年10月に改版され、読みやすくなって書店の書棚に並んでいる。

   帯には、「戦争という人類の『不治の病』を克服する」とある。本書の終章の最後で、「戦争はおそらく不治の病であるかもしれない。しかし、われわれはそれを治療するために努力し続けなくてはならないのである。つまり、われわれは懐疑的にならざるをえないが、絶望してはならない。それは医師と外交官と、そして人間のつとめなのである」という。このような認識をもちつつ、「アメリカ太平洋軍」を読めば、その味わいはまた一段と深まると思う。

経済官庁 AK

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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