関東地方の私鉄で働いている運転士(10年目)のツイッターユーザー(以下A氏)が、列車の走行中に、ホームから運転席をフラッシュで撮影しないよう注意を呼びかけたことが、反響を呼んでいる。
A氏はJ-CASTトレンド編集部の取材に、フラッシュ撮影が運転士の目くらましとなる危険性を指摘。「ケースによっては列車の運行妨害となる事象であることを広く認識してほしい」と訴えた。
目をつぶって約200メートル運転するようなもの
「運転士としてのお願いなんですが、走行中の列車の運転席に向けてフラッシュ撮影は本当にやめてください。撮影そのものは大歓迎なのですが、安全運行の妨害となり本当に危険です」
A氏は2017年12月、ツイッターで乗客にそう注意を呼びかけた。
「鉄道ファンだけでなく一般の旅行者や外国人旅客にも周知させてほしいです。子供へは大人の方がきちんと教えてあげて」という。
12月下旬のJ-CASTトレンド編集部の取材に、A氏は「きっかけは、直前の乗務中に夜間フラッシュ撮影をされてしまったことでした」と明かした。
「すべての回答は『私個人』の意見です」と前置きした上で、「仮に70キロ程度で走行する列車運転中に10秒ほど目が眩んでしまったら、約200メートルの距離を目をつぶって運転するのと同じになります」と説明。
「運転士の目は、乗車されているすべてのお客様の命を預かっています」
と強調した。
記者が「フラッシュ撮影をされる方は増えていますか?」と質問すると、
「はい。携帯電話やスマートフォンの普及により、撮影が手軽になったのも要因のひとつではないかと思っております。路線で異なるかもしれませんが、カメラ知識の乏しい方のほうが知らないケースも多いのではないかと考えます」
と明かす。
「ベストポジションで待機し、カメラを構えているのが見えれば、『もしかしたら光るかも?』と身構えられますが、ホームで列車を待っている人混みの中から突然光るものは、ほぼ予想できません」
RTは1万3000件 「初めて知りました」
「物体として見てしまうんでしょうけど、人間が運転してるって事は忘れないで欲しいものですね」
「このようなことがあることを初めて知りました。絶対にやめてもらいたいですね」
「旅行中に記録がてらで列車の写真を撮る身ですが、厳守します」
など、A氏のツイートはネットユーザーの共感を呼んだ。「リツイート」は1万3000件、「いいね」は7000件を突破している(12月25日時点)。
この大反響に、A氏は
「これだけ多くの方に興味を持ってくださったことを感謝すると同時に、列車の安全運行にご協力をいただければこれほど嬉しいことはございません」
と感謝している。
「フラッシュ撮影をする方に苦言を呈しているのではなく、それが危険な行為であり、ケースによっては列車の運行妨害となる事象であることを広く認識してほしいと願っています」
助けるために線路に降りる...は、絶対にしないで
鉄道の安全を守るため乗客が気をつけるべきことは、他にもあるのか。A氏は
「ホームから線路に転落した人を見かけたら、ためらうことなくホームの『非常ボタン(社局によって名称は多少異なる)を押し、その後も絶対に線路に降りない』でください」
と答えた。
この例に挙げるのが、東京・JR新大久保駅で2001年に起きた乗客転落事故だ。1月26日の夜、泥酔した男性がホームから転落した。居合わせた別の男性2人が線路に飛び降り救助を試みたが、3人とも電車にはねられ死亡した。
列車はホームに接近していると非常ボタンを押しても停止できないおそれがある。また路線によっては、線路と平行に高圧電流が流れているものもあるという。
「ニュースなどで取り上げられる『間一髪の救出劇!』は結果論であり、非常に危険な行為です。助けるために線路に降りる...は、絶対にしないでください。
現在、年末年始無災害運動やプラットホーム事故0(ゼロ)運転が実施されております。特に酩酊者の転落事故が多い時期です。お酒を飲まれたあとのホームでは十分注意していただきたいです」