2017年のベストセラーは『九十歳。何がめでたい』(小学館)と決まったが、年末ぎりぎりになって『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が追い上げている。『九十歳』は高齢者向け、『君たち』は少年向け。出版界で「老」と「少」が激しいデッドヒートを繰り広げている。
100万部を突破
年間ベストセラー例年、12月1日付けで発表される。取次大手のトーハンの調べによると、総合1位は作家の佐藤愛子さんのエッセイ『九十歳。何がめでたい』。発売されたのは16年8月だが、年をまたいで17年になってじわじわと売り上げを伸ばした。発売元の小学館は17年11月7日付で100万部を突破したと発表、さらに12月19日の新聞広告では「113万部突破」とうたっている。
これに迫る勢いを見せているのが、吉野源三郎原作の『漫画 君たちはどう生きるか』。今年8月の発売後、すぐに丸善日本橋店のフィクション部門で1位。アマゾン児童文学部門でも1位になるなど、出足から絶好調。11月末段階で80万部突破したという。
漫画を担当した羽賀翔一さんは、書店のサイン会などにも積極的に出てPR。宮崎駿監督が製作中の新作長編アニメの題名が「君たちはどう生きるか」となることも決まり、さらなる売り上げ増が見込まれている。
『九十歳・・・』はタイトルを見る限り、高齢読者向けだが、読者ハガキの最年少は9歳。若い世代からも反響があるそうだ。『君たち・・・』は少年少女向けだが、実際には「若いこと読んだ」と言う中高年層も買っているという。それぞれの読者層の広さが、好調な売り上げにつながっているようだ。