国内バイク市場の販売不振が続いている。日本自動車工業会の調査によると、2016年の二輪車の国内販売台数は37万台で、1995年(123万80000台)の約4分の1に縮小した。
バイク同様、若者の「○○離れ」が叫ばれている車の新車販売台数は、689万5000台(95年)から503万8000台(16年)に減少しているものの、バイクの比でない。いかに「バイク離れ」が深刻化しているかがわかる。
もはやバイクは衰退あるのみなのか――いや、意外にも「若者」が救世主になるかもしれない。
若者の過半数がバイクに「憧れ」
ヤマハ発動機は2017年9月29日から10月1日の期間、男女1038人に「バイクに関する意識調査」を実施した。
調査では、バイクとの関係が「冷え切った」といわれる18歳~29歳が対象だったが、「バイクに憧れを感じるか」との質問に52.6%もの人が憧れていると回答した。
世間のイメージと乖離(かいり)する結果になったが、一体なぜだろう。憧れを持つ理由を聞くと、「体全体で風を感じられそうだから」(44.0%)が最多。「開放感がありそうだから」(38.9%)、「自由になれそうな気がするから」(31.1%)と続いた。
これらの理由はどう分析できるか。調査を監修した流通コンサルタント・坂口孝則氏は、バイクならではの「エモ体験」を指摘する。
「憧れる理由を紐解くと、乗ってこそ得られるリアルで「エモーショナルな体験」があるようです。SNSが知人と親近感を覚えるメディアだとしたら、爽快感と開放感をリアルに抱けるメディアは今でもバイクではないでしょうか。自分の生命を感じられ、時を追い越すかのような楽しみを得ることができるのです」
「転倒が怖い」その不安、減らします
それではなぜ、「エモ体験」に憧れる若者がバイクの購入にいたらないのか。
前述の調査によると、バイクの購入には、2つの壁――「転倒が怖い」「バイクの購入費が高い・かかる」――があり、なかでも転倒のリスクを懸念する声が最も多かった。乗ってみたいバイクの種類でも、61.5%が「安全性能の高いバイク」と答えている。
こうなればバイク業界も黙ってはいない。
「近年、レンタルサービスや125cc~250ccの比較的安価な軽二輪クラスを各社が充実させるなど、『経済リスク』が軽減できる環境が整いつつあります。ヤマハの『トリシティ155』は人気の軽二輪クラスに属するモデルで、前二輪の『LMWテクノロジー』により、高い安定感で前輪スリップによる『転倒リスク』が軽減されています」(坂口氏)
「今までバイクを敬遠していた層が乗るようになれば、その『ヤバさ』が再び口コミで広がるようになるのではないでしょうか」(同)