ロシアに親しみを感じている日本人はわずか8.8%――。ある調査結果(※)によると、日本人の半数以上がロシアを遠い存在に感じ、具体的なイメージが思い浮かばないことがわかった。
だが、そんな印象も2018年には大きく変わるかもしれない。
18年~23年は「ロシアイヤー」に
「日本ではこれまでにないくらいロシアが話題になる」
こう話すのは、広告代理店「電通」の山本敏博社長だ。同社は2017年12月11日、ロシアの国有天然ガス企業子会社「ガスプロム・メディア」と東京急行電鉄、日本経済新聞社の3社とともに、日露の文化交流を目的とした「ロシア・イン・ジャパン実行委員会」の設立発表会を都内で行なった。
同委員会は、16年の日露首脳会談で、人的交流を目的とした「ロシアにおける日本年」「日本におけるロシア年」の開催決定を踏まえ設立された。
18年5月からのモスクワ・ボリショイ劇場での舞台を皮切りに、5年間にわたり日露の文化理解を深めるイベントを行う。日本では、芸術祭やフードフェア、ロシア映画の上映などが開催予定だ。
文化人からも歓迎の声
17年6月~12月には「日本におけるロシア年」のプレイベントともいえる「ロシアの季節」が日本で行われ、一定の成果を上げた。
こちらも文化交流を目的に、ロシア国立サンクトペテルブルクマールイ・ドラマ劇場のツアーや、マリインスキー劇場管弦楽団のコンサートなど、全国で250以上のイベントが開催され、のべ350万人の集客に成功した。
エフゲニー・アファナシエフ駐日ロシア大使は、12月11日の閉幕式で、
「ロシアの最高のパフォーマンスを披露でき、ロシアの魂は日本人に伝わった」
と手ごたえを口にし、18年の「本イベント」へ胸を躍らせた。
「本イベント」に対する文化人の期待も大きい。「ロシア・イン・ジャパン実行委員会」の設立記念コンサートに出席した、世界的指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏は、
「世界の状況は緊迫した状況が続いていますが、そういう状況下で両国が手をたずさえていくことはとても大切」
同じくコンサートに出席した、ピアニスト・横山幸雄氏も、
「ロシアの文化や、ロシアの人々への親しみをもてば、争い事など起きるわけがないと思う。そのための音楽でさえある」
と、文化交流の重要性を強調した。
※ロシア・イン・ジャパン実行委員会の調査から。17年8月5日~6日の期間、20~59歳の男女1000人を対象に実施。