知識のインプットより、アウトプット――発信することで、より深く学ぶ――
「50歳からの記憶法」として、大切なのは次の3つだという。
(1)関心:関心がなければ、覚える気にならない。意欲が落ちる50代以降にとっては、何よりも関心が大事。
(2)使って復習:覚えたことをできるだけ日常会話の中で「使う」こと。アウトプットしていくことで、記憶に定着させていく
(3)覚えるよりも意味を理解:覚えたいことの「意味」を理解し、それにまつわるエピソードや関連知識も調べてみること(エピソード記憶化)。そして、それを誰かに話したり、ネット上で原稿にまとめてみたりすること(2の実践)。
著者曰く、アウトプットの機会を持つことは、50歳からの記憶法として効果的なだけでなく、そもそも記憶しようとする目標となり、一石二鳥だと説く。目標を持つことで、関心の幅が広がり、覚えたいことの理解が深まるという。これまでに600冊以上もの著作のある著者の言葉だけに説得力がある。評者にとっても、この書評を書くこと自体が、本書を自らの記憶に留めるためにも、また、理解を深めるためにも有効な方法、というわけだ。
加えて、アウトプットの効用は、何よりも、思いもかけない新たな人間関係につながることだという。発信することで、他者からの反応があり、知り合いが増え、居場所ができる。定年後の人生を模索する者にとって、これ以上の報酬はないだろう。