アトピー性皮膚炎患者の「声にならない悩み」を考える いま必要なのは医師とのコミュニケーション

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自己効力感、自己肯定感につながる活動を

   シンポジウム後、「患者から見たアレルギー疾患対策推進研究会」会長の武川篤之氏に話を聞いた。

「いま、患者一人一人が各々にあった治療法を客観的な指標のもとに選べるような社会環境、医療環境を作る必要があります。明確な、エビデンスのある情報を社会に伝える仕組みを作ることが重要と考えます。(15年12月25日に)アレルギー疾患対策基本法が施行されましたが、患者不在で紙に書いて終わりの法律ではなく、現実に即して患者を真に救うものにするために、各方面に働きかけていきたいです」

と、設立の想いを話す。

「全国で同質の治療を受けられる『均てん化』をはじめとして継続的なアレルギー疾患対策の総合的な推進計画にかかる検討・確認・要望を行ったり、厚生労働省へアレルギー疾患に関する情報サイトの制作に対し、詳しく意見を上げるなどの活動を行っています」

   厚生労働省の「リウマチ・アレルギー対策委員会報告書」(2011年8月)によると、現在、アレルギー患者数は全人口の約2人に1人だとされ、増加傾向にあるとしている。アレルギーは、一度罹患してしまうと対症療法が基本で、完治は難しいのが実情だ。

   アトピー性皮膚炎も同様で、その患者は慢性的なかゆみに苦しむばかりではなく、それに伴う不眠や集中力の低下、見た目の恥ずかしさなど、日常生活にも影響が出てしまい、疾病負荷がかかるケースが多い。

   武川氏はこのような現状を見て、アトピー性皮膚炎の患者に寄り添った思いを持つ。

「社会的にアトピー性皮膚炎であることを認知された時に、周りの人の誤解などから疎外感を覚える人が少なくないんです。だからこそ、自分と同じ状況で生きている人が周りにもいる、自分はアトピーでもちゃんと生きていける、といった自己効力感、自己肯定感の促進につながるような取り組みが必要になるわけです」

   それには、社会全体がアトピー性皮膚炎への理解を深め、患者をサポートしていくことも大切だ。そのための啓発活動も積極的に行っていきたいと語る。

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