ゴルフクラブはどんな握りでもOK
取材は驚きの連続だった。子どもたちはショットやパター、アプローチに挑戦したが、ゴルフの「技術」や「ルール」を教えられることはほとんど無かった。「打ちっぱなし」では、コーチが
「正しいクラブの持ち方はこうだけど、今日は好きに打っていいよ。野球のバットみたいに握ってもいいし、普通と反対に持ってもオッケー」
と指導。子どもたちは思い思いの握りで、笑顔いっぱいに汗を流した。
本来のゴルフレッスンで重点を置く「技術」「ルール」に時間を割かない分、この日のテーマである「礼儀」には熱を入れていた。礼儀を「他人に対して思いやりを持ち丁寧に行動すること」と定義し、これを子どもたちに考えさせる工夫を随所に盛り込む。
例えば、子どもたちがショットの順番待ちをしている際、
「どこで待っていればお友達の邪魔にならないかな?」
とコーチが声をかけ、同じグループの仲間がナイスショットを決めれば、
「なんて言葉をかけたら○○くんは嬉しいかな?」
と投げかける。子どもたちはそのたびに考え、行動に移した。
プログラムは1時間ほどだったが、最初のぎこちなさが嘘だったかのように終盤には子どもたちのコミュニケーションが活発化。
「おしい~」
「こうすればいいんじゃない?」
「ありがとう!」
と元気なかけ声が響いた。