「歓迎 ○○様 ○○名」――入り口やフロントで、こうした掲示物を飾る旅館やホテルは珍しくない。
しかし、「個人情報保護や防犯の観点から問題があるのではないでしょうか?」と疑問が投げかけられ、ちょっとした議論になっている。
歓迎の気持ちを伝えたい
この問題提起は、Q&Aサイト「発言小町」で2017年11月5日に寄せられた。
投稿主は、28歳の女性だ。先日、1人で国内旅行をした際に、思いがけない体験をしたという。宿泊先の旅館に到着し自室まで向かうと、廊下に面した部屋のドアに
「歓迎 ○○様 1名 」
との張り紙があった。
防犯やプライバシーの観点から「何て配慮に欠けるのだろう」と感じ、フロントにクレームをいれると、
「不快な思いをさせたのは申し訳ありませんが、こちら側としましては歓迎の気持ちを伝えたいと思いまして」
と返事があった。
投稿主は、こうした経験は初めてだったといい、いまだに納得していないようで、
「私の泊まった旅館の方針は一般的なんでしょうか?」
と意見を求めている。
旅館は「女性の一人旅」を考慮すべき?
レス(返信)を見ると、賛否入り混じった声があがっている。
共感できない人たちからは、
「名前と人数だけで、個人情報や防犯云々って大袈裟過ぎ」
「部屋の張り紙は、表札代わりになって便利だと思ってました」
といった意見が。むしろ「歓迎されているようで嬉しいです」とも。
一方で、
「自意識過剰と言われるだけであまり共感してくれる人はいないかもしれませんが、私は一名の時は人数は入れないでほしいと思いました」
「今の時代とその慣習はズレてきているのかもしれませんね。個人情報とまではいえないと思いますが、不快な気持ちがあれば伝えてもいいと思います」
と賛同派も。複数人や男性ならまだしも、「女性の一人旅」という点を旅館側は考慮すべきだったという指摘が多い。
リクルートライフスタイルが2017年7月25日に発表した「じゃらん宿泊旅行調査 2017」によると、一人旅の旅行件数は年々増加し、16年度は17.2%を占めた(女性は11.7%)。これは最も多い「夫婦二人での旅行」(25.5%)に次ぐ数字だ。
宿泊業界は、これまで以上に「おひとりさま」への配慮が求められるかもしれない。