睡眠用に作られたバッハの「ゴルトベルク変奏曲」は眠るに眠れない傑作だった

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知的興奮が抑えられない傑作

   後世のいろいろな研究者がバッハの作曲意図や、作曲上の工夫を探ろうとしましたが、まだすべては明らかになっていません。また、印刷されて出版された初版の楽譜に、バッハ自身が書き込みをしている事実がわかっています。バッハはおそらくさらに手を入れて、改訂版を作る計画があったのです。現代の出版譜はある程度それらの「書き込み」も反映されていますが、バッハの「本当の完成版」を我々は、ひょっとしたらまだ手にしていないのかもしれません。

   円熟のバッハが、渾身の力を込めて作りこんだ「変奏曲」は、本当は眠くなるどころではない、知的興奮が抑えられない傑作だったのです。ピアニスト、グレン・グールドは、1955年、当時全く知られていなかったこの曲を自らのデビュー録音に取り上げ、一躍この曲と彼自身の名前を有名にしました。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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