繰り返される企業の不祥事 足りないのはトップの「美意識」か?

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すべての日本人には芸術家の素質がある

   フランスのブランド帝国、LVMHのベルナード・アルノーは、物質主義が後退し精神的な充実を求める声が強まると預言し、筆者は、「Appleという会社は、IT企業として捉えるよりも、もはやファッションの会社だと考えた方がいいのかもしれません。なぜなら、アップルが提供している価値は、利用者の自己実現欲求の充足であり、アップルの利用者は『そのような人』だという記号だから」と述べる。

   日本企業に勝機はあるのか?

   1931年に来日した、アン・モロー・リンドバーグは、「すべての日本人には芸術家の素質がある。着物、毛筆の文字、蛇の目傘。普段使いの食器。日常生活のうちの紙と紐すらも」と日本を絶賛している。渡邊京二氏の「逝きし世の面影」(平凡社ライブラリー)にも江戸末期から明治にかけて来日した欧米人の同様の感想が多数収められている。

   日本人に備わる美意識は、日常生活、子供の教育、茶道、剣道をはじめ大人になってからの稽古に支えられたものである。そうした美意識を、受け継ぎ、発展させよう、と産業界の幹部が認識を新たにし、幹部はもとより従業員すべてにそうした活動を奨励するようになれば、世界から憧れられる「粋な企業」が続々と誕生するのではないか。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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