診断名となるまでは、「慢性胃炎」
――機能性ディスペプシアが正式な診断名として認められたのが2013年6月ですね。機能性ディスペプシアの患者さんにはそれまで、どんな診断をしていましたか。
「診断名が付くまでは、慢性胃炎、ストレス性胃炎とか神経性胃炎などと診断されることがありました。慢性胃炎というのは、組織学的に細胞内に炎症がある場合にそう診断するのですが、機能性ディスペプシアは、粘膜に異常がありませんので、少し慢性胃炎と異なります。組織学的胃炎で最も著名なのは、ヘリコバクター・ピロリの感染で起こる萎縮性胃炎ですが、機能性ディスペプシアは器質的疾患がないので、慢性胃炎とは違うと考えなければいけないはずなのですが、疾患名はありませんでした」
――診断名として認められて、どんなメリットがありましたか。
「患者様が『胃が痛いから検査したけど何でもありませんでした』などとおっしゃることもあります。器質的疾患はないけれど胃の不調症状はあるわけですので、きちんと病名がついたこと、この疾病に効果的な治療法があることがわかれば安心され、それだけで不調が良くなる方もいらっしゃいます。少しでも気になる事があれば専門家を受診することをお勧めします。食生活、運動、睡眠など生活習慣を改善し、ストレスや不安を解消しましょう。プロバイオティクスを生活習慣に取り入れることも良いでしょう」