胃が痛い、胃もたれする、ムカムカする。検査で異常はなかったのに、どうして――。
それは、「機能性ディスペプシア」と呼ばれる病気かもしれない。胃もたれなど胃の違和感があるが、内視鏡などの検査では異常がみられない状態を総称する。2013年に正式な病気と認定された。
「機能性ディスペプシア」を疑った時、どうすればよいか。J-CASTトレンド編集部は、消化器内科の緒方医院(東京都大田区)・刑部(おさかべ)優美院長に話を聞いた。
有病率は10~20%
――実はこの病名、初耳でした。「機能性ディスペプシア」とはどんな病気ですか。
「器質的疾患や全身性の病気、代謝性の病気がないにもかかわらず、慢性的に心窩部痛(みぞおちの痛み)やもたれを感じる症状で、機能的な異常で起こる病気のことです。内視鏡検査などを受けていただき、胃がんや胃潰瘍や、胃炎などの器質的な病気がないことを確認して、診断されます」
――主な症状には、どんなものが挙げられますか。
「胃もたれと早期飽満感(すぐに満腹になってしまうような感覚)、心窩部痛(みぞおちの痛み)と心窩部の焼灼感(みぞおちの焼けるような感覚)の2つに大きく分けられます。それ以外には、吐き気とか腹部の膨満感などの症状があります。これら全部の症状をお持ちの方もいらっしゃいますし、様々なケースがあります」
――こういった症状が発生する原因は何ですか。
「食物が食道から胃に入ってくると、上部のあたりが拡張されて、食物が貯留されます。ただ、胃が広がらないと、溜めることができません。色々なストレスによる自律神経の乱れが関係していると考えられ、これが拡張できなくなると、溜められなくなり、すぐにお腹いっぱいになってしまうのです」
――それが早期飽満感と言われるのですね。胃もたれの原因は何ですか。
「胃で消化した食物を排出する動きが障害されることで、溜まったものがなかなか十二指腸に送られてこない、という機能異常で起きていると考えられます」
――みぞおちの痛みとみぞおちが焼けるような感じ、こちらもお願いします。
「知覚過敏(胃が刺激に敏感になる)によるものと考えられています。胃の中ではPH2.0ぐらいの非常に強い酸、胃酸を分泌しており、食物を溶かしてしまいます。普段はそれが胃の中にあっても、痛いとは感じないのですが、知覚過敏になっていると、痛みを感じやすくなるのです。これが心窩部痛として表れます。焼灼感も酸の刺激が強く感じられるから、という部分が大きいです」