ビゼーの作曲意図を忠実に反映した「アルルの女組曲」
「アルルの女」は、彼が34歳の時、「風車小屋だより」の作者として知られるアルフォンス・ドーデの同名の戯曲の劇付随音楽として書かれた作品です。劇音楽として、ビゼーは全27曲を作曲しましたが、現代では劇音楽としてトータル上演されることは滅多になく、そこから数曲抜粋され、組み合わされたオーケストラ用の「管弦楽組曲」として演奏されることがほとんどです。
というのも、劇音楽としては、当時の劇場のオーケストラの編成の都合上、少人数のアンサンブルで演奏することになっており、ビゼー自身も、その物足りないサウンドに頭を悩ませたからです。純粋にフル・オーケストラの演奏会用組曲として演奏される「アルルの女組曲」こそ、ビゼーの作曲意図を忠実に反映したものといえるわけです。
「アルルの女組曲」は2つの組曲があり、第1組曲は「前奏曲」「メヌエット」「アダージエット」「カリヨン(鐘)」の各曲、第2組曲は「パストラール」「間奏曲」「メヌエット」「ファランドール」という曲たちで構成されています。
フルートとハープの美しい二重奏のメロディーが美しい「メヌエット」や、現地の踊りを思わせる勇ましい「ファランドール」は特に人気が高く、良く取り上げられますが、実は、第2組曲を劇音楽から編曲して編んだのはビゼーではありません。それどころか、3曲目の「メヌエット」は、「アルルの女」劇音楽の中の1曲でさえなく、彼の別のオペラ「美しきパースの娘」の中の1曲なのです。