北イタリアで突如「完成型」として登場したヴァイオリンは、その後の歴史を変えてしまった

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他の類似楽器を駆逐してしまう圧倒的存在感、それがヴァイオリン

   そして、クレモナのヴァイオリン制作の黄金期、17世紀以降に現れたのが、「クラシック音楽」なのです。

   現代では、復元された古楽器を使った「古楽演奏」ということで、これより古い時代のヨーロッパの音楽も復元演奏されるようになってきていますが、いわゆる「クラシック音楽」の一般的な定義の範疇に入る作曲家、モンテヴェルディやスカルラッティ親子、そしてヴィヴァルディ、バッハにヘンデル・・といった人たちは、みな「ヴァイオリンの突然の誕生以降」の作曲家なのです。みな、ヴァイオリンの豊かな響きを知っている音楽家たちです。

   逆説的に言えば、ヴァイオリンの豊かな響きを前提とした合奏やオーケストラを使うことが当たり前の時代になって、初めて現在につながる「クラシック音楽」が成立した、といってもよいのです。「あるとき、いきなり完成系でこの世に現れたヴァイオリン」が、いかに他の類似楽器を駆逐してしまう圧倒的存在感があり、その後の音楽の歴史を変えてしまう力を持っていた、といってもいいでしょう。今でもクラシック音楽は、他ジャンルの音楽に比べて、ソロでも、室内楽でも、管弦楽でも、ヴァイオリン族の楽器を多用しますが、そもそもの成り立ちを歴史をさかのぼって考えたとき、音楽と楽器が切っても切れぬ縁であることがわかります。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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