ドビュッシーの都市伝説 「秘密の騎士団」総長だった?
急に話が飛びますが、映画化された小説「ダ・ヴィンチ・コード」で世界中にブームを巻き起こしたダン・ブラウンが底本とした「レンヌ・ル・シャトーの謎」という本によると、イエス・キリストの聖杯を守っている騎士団「プリウレ・ド・シオン」の総長をドビュッシーは務めていた、という記録があるそうです。
聖杯、とはつまり血脈、イエスは実際には十字架の上で亡くなっていたのではなく、弟子たちに救い出され、パレスチナからフランスへ渡って結婚もして子孫を残していた・・・その子孫とその秘密を守る騎士団なのだ・・・というにわかにも信じがたい一節もあります。つまり、それに沿って解釈すると、ドビュッシーが作曲した「謁見のテラス」の主が、王族などよりも、はるかに重要な人物だったことがうかがえます。
この話はさすがに荒唐無稽なものとしても、数々の謎めいた秘密が聴こえてくるような、不思議な、しかし、どことなく安心できる世界を、たった4分程度のピアノ独奏という限られた音の中で作り上げてしまうドビュッシーは、やはり特別な作曲家だったということが言えると思います。
中秋の名月のお月見、ぜひ、「月の光」よりさらに奥深いドビュッシーの「月光の降りそそぐ謁見のテラス」を聴いて、不思議な世界に遊んでみませんか?
本田聖嗣