37年の時を越えて生まれ変わったブラームス「ピアノ三重奏曲 第1番」 秋に聴きたい1曲

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   一雨ごとに気温が下がり、秋らしくなってくると、聴きたくなる作曲家が、ドイツ・ロマン派のヨハネス・ブラームスです。今日は、彼の室内楽作品、「ピアノ三重奏曲 第1番 ロ長調 Op.8」を取り上げましょう。

   ブラームスは生涯で3曲のピアノ三重奏曲を書いていますが、最初の曲である第1番は、ブラームス21歳の時、1854年に書かれています。

  • 老いて円熟期のブラームスの肖像
    老いて円熟期のブラームスの肖像
  • 若きブラームスの肖像
    若きブラームスの肖像
  • 老いて円熟期のブラームスの肖像
  • 若きブラームスの肖像

「1854年版」はほとんど演奏されない

   確かなピアノの腕を持ち幼少期よりピアニストとして活動し、同時に作曲に意欲を持っていたブラームスは、この時期、長年の友人となるヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムや、尊敬していた作曲家のロベルト・シューマン、そして、その妻で、彼が生涯尊敬と愛情を抱くことになるピアニスト・作曲家のクララ・シューマンなどに出会った時期でした。

   おそらく、そういった先輩格の作曲家や演奏家からの刺激を受けて、彼は、自分の得意楽器であるピアノを中心に据えた室内楽、ピアノ三重奏曲を、志に燃えて、作曲したのだと思われます。

   しかし、この「ピアノ三重奏曲 第1番」は現在では、ほとんど演奏されません・・いや、正確に書くと、「1854年版」はほとんど演奏されない、といったほうが良いでしょう。

   実は、現在ブラームスの「ピアノ三重奏曲 第1番」として演奏されるのは、「1891年版」と呼ばれるヴァージョンなのです。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

姉妹サイト