頼朝との交流のドラマを描いた歴史小説
『頼朝と運慶』(著・西木暉、鳥影社、1944円)は、鎌倉幕府を開いた源頼朝と同時代の運慶の交流をドラマチックに描いた歴史小説だ。
10年ほど前に一般公開された大日如来像が建久4年(1193年)の運慶作となれば、鎌倉幕府の御家人、足利義兼が頼朝からどのようにして危険を乗り越え、運慶に像を造らせることができたのか。それを解き明かすのがサブ・テーマとなっている。
大日如来像は2008年に新宗教教団・真如苑(東京)によって、ニューヨークのクリスティーズのオークションで落札され話題になった。著者の西木暉氏は中学校社会科教員を経て文筆業に入り、これまでも『仏師成朝と運慶』『運慶と快慶』『八条院暲子と運慶』と運慶関連の作品がある。