謎多きベートーヴェンの「月光ソナタ」 楽譜に残された印がミステリーに拍車をかける

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謎の原因は「恋心」!?

   この曲を献呈された、ベートーヴェンの一時弟子であったジュリエッタ・グッチャルディ嬢に、ベートーヴェンは好意を抱いていたのは間違いがなく、かといって、身分違いのため結婚は望むべくもありませんでした。

   惚れっぽい体質のベートーヴェンは、第1楽章を、あまりピアノの腕前が良くない彼女でも弾けるように書いた、とも、抑圧された恋心を人知れず抱える気持ちの第1楽章、想像して楽しむ第2楽章、現実にさいなまれる葛藤の第3楽章、という風につづっていたのだ・・・とも想像できます。

   事実、彼の死後、遺品の中から「不滅の恋人へ」という、宛先不明のラブレターが見つかっており、現代にいたるまでも、その相手が、誰なのか、判明していません。一説には「エリーゼのために」を各動機となった「テレーゼ嬢」だともいわれますし、このグッチャルディ嬢も候補の一人なのです。

   ともあれ、30歳の、即興ピアニストからいよいよ転身して作曲家としてデビューし、野心と、もしかしたら燃える恋心を持ったベートーヴェンは、この謎多き斬新な「幻想曲風ソナタ」を残したのです。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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