カーとケインズの理論的共通点
また、週刊エコノミスト2017年9月5日号の「話題の本」では、20世紀最大の経済学者、ケインズに関わる古典などを紹介した「ケインズとその時代を詠む」(大瀧雅之・加藤晋編 東京大学出版会 2017年7月)が取り上げられている。
「戦後の世界秩序が揺らいでいる。ケインズが生きた二つの世界大戦の間も同様だった。1930年代の世界的危機に際し、その回避に心血を注いだ英知、良心を顧みるために選ばれた名著」を紹介したのが本書だ。
その中には、上記、E.H.カーの「危機の二十年」をはじめ、ケインズの「平和の経済的帰結」、「条約の改正」、「雇用・利子および貨幣の一般理論」などがある。
カーとケインズの理論的共通点は、リアリズムに軸足を置き、現実的に達成できるものを前提として理想を追求する姿勢にある、という。ケインズが、「一般理論」でみせた自由放任主義への批判的姿勢と人間の合理的判断への期待にカーが共鳴し、ユートピアニズムへの批判的分析とリアリズムの導入を通じて、国際政治学が深化したのだ。
経済官庁 AK