9月に入り、猛暑日がうそだったかのように過ごしやすい気候になってきた。夏場は「熱中症」予防のためにこまめに水分補給していた人も、意識が少し薄れてきたのではないだろうか。
実は、秋にも熱中症になる可能性は決して低くない。消防庁が発表した全国の熱中症による救急搬送人員は、2017年8月28日~9月3日の間で、1410人もいた。例年、9月以降も熱中症患者は少なからずいるのだ。
医師も薦める「経口補水液」
企業のマーケティング支援を手がけるネオマーケティング(東京都渋谷区)の調査によると、熱中症対策として行っていることの1位は「水分補給」の98.9%だった。飲み物の中では、「水」が79.8%でトップ、以下「お茶」(73.7%)、「スポーツドリンク」(57.7%)、「清涼飲料水」(24.6%)、「経口補水液」(9.9%)と続く。
それでは、最も効果的な飲み物はどれなのか。済生会横浜市東部病院周術期支援センター長の谷口英喜医師は、わずか1割ほどだった「経口補水液」をオススメする。
谷口氏が、20~30代の男性6名を対象に、経口補水液(味の素「アクアソリタ」)と麦茶をそれぞれ1リットル摂取した際の体内水分量および体重の変化を120分後まで計測した。
すると、麦茶を摂取した際は、右肩下がりに体内水分量が減少していくのに対し、経口補水液は90分後までほぼ横ばいで推移、120分経過後でも麦茶と比べて体内に水分が多く保持されていた。
体重の推移で見ても、経口補水液は麦茶と比べて体重の増加速度が速く(水分がより多く体内に取り込まれ)、その後の減少速度が遅い(水分が保持されている)ことが実証された。