メンバー8人全員が曲を書く
和楽器バンドはメンバー8人全員が曲を書くというソングライターの集団でもある。6日発売の初めてのシングル「雨のち感情論」は、作詞作曲が鈴華ゆう子、もう一曲の「月に叫ぶ夜」は黒流の作詞作曲。前者は、90年代の歌謡ポップス。後者は、スクラッチノイズから始まる壮大なヘビーメタル。間奏は、和楽器とドラムベースが不協和音を奏でながらバトンタッチしてゆくようなスリリングな演奏が聴ける。「全く違う世界で楽しんでもらえるようにという二曲です」(鈴華ゆう子)。
和楽器バンドは、すでに武道館や東京体育館などの大会場を成功させている。海外のツアーもアメリカやアジアを回った。一枚目の「ボカロ三昧」の中の「千本桜」は、YOU TUBEでの再生回数が約6000万回。海外からの反応も多い。ボカロ、つまり、コンピューターを使った架空のアイドルのことだ。和楽器バンドのメンバーの中にはボカロのヒット曲を書いている作曲家もいる。
「一枚目をボカロ曲のカバーにしたのは、ボカロに和の要素が入ったものが多いことに気づいたからですね。ボカロは世界の人が注目してますし注目度も高い。"演奏してみました""歌ってみました"というサイトもあって、そこで演奏を知ったメンバーもいます」(鈴華ゆう子)
ロックや演歌、洋楽や邦楽。音楽がジャンルで語ることが当たり前になっている。でも、その様々な要素が混在するのが日本の大衆音楽だろう。黒流は、こんな話をした。
「一人で和楽器奏者をやるようになって、伝統は大事だけど、それを守る、ということだけでも違うのかなと。伝承に意味はありますけど、それだけでは本家は超えられない。それに甘えるとコピーになってしまう。何年も何十年も稽古したから気づいた。失敗するわけにはいかない。これから新しい事をやろうとしている若い人達に対しての責任があると思ってます」
和楽器とロックバンドとボカロ。これが21世紀なのかもしれない。
(タケ)