球児たちの夏が終わった。2017年8月23日、第99回全国高校野球選手権大会決勝が行われ、花咲徳栄(埼玉)が広陵(広島)を14対4で下した。
ファンの視線は、早くもドラフトに移りつつある。なんといっても「目玉」は広陵のキャッチャー・中村奨成(しょうせい、3年)だ。中でも、巨人の動向に関心が集まっている。
各球団からのラブコール合戦
「東の清宮、西の安田」――超高校級のスラッガーである早稲田実業(西東京)・清宮幸太郎(3年)と、履正社(大阪)・安田尚憲(3年)。大会前の注目選手はこの2人だった。
しかし、ともに地方大会で敗退。「怪物」を欠いた状況で本選を迎えるが、マスコミやスカウト、高校野球ファンの注目度が一気に上がった選手が、中村だ。
地方大会は、2回戦で右手首に死球を受けた影響もあり、打率.176(17打数3安打、2本塁打)と低迷するが、甲子園では大暴れ。1大会史上最多の6本塁打、17打点を記録した。
魅力的なのは、打撃だけではない。2塁への送球が最速1秒78と「強肩」を誇り、さらには50メートル6秒0と「足」まで兼ね備えている。
走攻守、どれをとっても群を抜くスター誕生となった今夏の甲子園。もしプロ入りを決断すれば、ドラフトでの争奪戦は必至だろう。
プロ野球では、谷繁元信(元中日)や城島健司(元阪神)、阿部慎之助(巨人)のような「打てる捕手」が久しく誕生していない。
そうした背景もあり、大会中には早くも各球団から「ラブコール」が飛び出している。