日韓でカワウソの保存に乗り出す
ある早朝「獺祭」を目撃して歓喜

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   2017年8月17日、環境省と琉球大学は長崎県対馬にカワウソが生息していることを発表した。琉球大学がツシマヤマネコの生態調査のために設置した自動撮影装置に一匹のカワウソが映っていたことから発覚した。

   ニホンカワウソの「絶滅宣言」が出たのは2012年8月。今回、対馬で確認されたカワウソが絶滅種のニホンカワウソかどうかは判断できないという。専門家によれば、韓国から流れてきた個体かもしれないというのだ。

  • 手作りのニホンカワウソのフィギュアを持って、嬉しそうに語る熊谷さとしさん。
8月21日(月)夜、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」に緊急生出演した。
https://www.tbsradio.jp/174826
    手作りのニホンカワウソのフィギュアを持って、嬉しそうに語る熊谷さとしさん。 8月21日(月)夜、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」に緊急生出演した。 https://www.tbsradio.jp/174826
  • 2017年3月19日、東京都美術館で開催された「カワウソ国際シンポジウム」。熊谷さんが企画して日韓のカワウソ研究者、動物園飼育関係者らが一堂に会し、意見交換した。
    2017年3月19日、東京都美術館で開催された「カワウソ国際シンポジウム」。熊谷さんが企画して日韓のカワウソ研究者、動物園飼育関係者らが一堂に会し、意見交換した。
  • カワウソ国際シンポジウムのポスター。当日、会場には200余名が参加。NHK自然番組「ダーウィンが来た!」の担当ディレクターの報告もあって、好評を博した。
    カワウソ国際シンポジウムのポスター。当日、会場には200余名が参加。NHK自然番組「ダーウィンが来た!」の担当ディレクターの報告もあって、好評を博した。
  • 韓国のユーラシアカワウソ。絶滅したニホンカワウソは日本の固有種であるという説と、ユーラシアカワウソの亜種であるという説がある。(撮影熊谷さとし)
    韓国のユーラシアカワウソ。絶滅したニホンカワウソは日本の固有種であるという説と、ユーラシアカワウソの亜種であるという説がある。(撮影熊谷さとし)
  • 熊谷さんが韓国の生息地を散歩中、捕獲した魚を食べずに岸辺に並べる「獺祭」(だっ
さい)に遭遇。嬉しくて祭りをしているように見えることから獺祭と呼ばれている。
                               (撮影熊谷さとし)
    熊谷さんが韓国の生息地を散歩中、捕獲した魚を食べずに岸辺に並べる「獺祭」(だっ さい)に遭遇。嬉しくて祭りをしているように見えることから獺祭と呼ばれている。                                (撮影熊谷さとし)
  • カワウソコレクションの一つ。中段右の白いものが、ユーラシアカワウソの頭蓋骨。
    カワウソコレクションの一つ。中段右の白いものが、ユーラシアカワウソの頭蓋骨。
  • 公益財団法人韓昌祐・哲文化財団の助成金で実現した韓国の野生カワウソ観察ツアー。
  晋州(チンジュ)市にある晋陽(ジニャン)湖のカワウソ保護区などを見学した。
    公益財団法人韓昌祐・哲文化財団の助成金で実現した韓国の野生カワウソ観察ツアー。   晋州(チンジュ)市にある晋陽(ジニャン)湖のカワウソ保護区などを見学した。
  • 手作りのニホンカワウソのフィギュアを持って、嬉しそうに語る熊谷さとしさん。
8月21日(月)夜、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」に緊急生出演した。
https://www.tbsradio.jp/174826
  • 2017年3月19日、東京都美術館で開催された「カワウソ国際シンポジウム」。熊谷さんが企画して日韓のカワウソ研究者、動物園飼育関係者らが一堂に会し、意見交換した。
  • カワウソ国際シンポジウムのポスター。当日、会場には200余名が参加。NHK自然番組「ダーウィンが来た!」の担当ディレクターの報告もあって、好評を博した。
  • 韓国のユーラシアカワウソ。絶滅したニホンカワウソは日本の固有種であるという説と、ユーラシアカワウソの亜種であるという説がある。(撮影熊谷さとし)
  • 熊谷さんが韓国の生息地を散歩中、捕獲した魚を食べずに岸辺に並べる「獺祭」(だっ
さい)に遭遇。嬉しくて祭りをしているように見えることから獺祭と呼ばれている。
                               (撮影熊谷さとし)
  • カワウソコレクションの一つ。中段右の白いものが、ユーラシアカワウソの頭蓋骨。
  • 公益財団法人韓昌祐・哲文化財団の助成金で実現した韓国の野生カワウソ観察ツアー。
  晋州(チンジュ)市にある晋陽(ジニャン)湖のカワウソ保護区などを見学した。

すでにニホンカワウソが絶滅寸前

   国内で最後にニホンカワウソが確認されたのは、1979年6月。場所は高知県須崎市を流れる新荘川だった。それ以来、姿を消した。

   一方、同じ仲間のユーラシアカワウソが生息する韓国では90年代に入って保護や保全が叫ばれ、徐々に増える。ただ、疫病が広まると一気に減少する可能性があることから、韓国側から日韓で分散飼育する必要があると指摘されていた。

   こうした提言をうけ2017年3月、〈韓国と日本 カワウソのたどった道〉をテーマとする国際シンポジウムが東京で開かれた。長年、韓国でフィールドワークを続けてきた熊谷さとしさん(63)が、公益財団法人韓昌祐・哲文化財団の助成を受け、東京都動物園協会との共催で日韓のカワウソ研究者や飼育関係者らが交流する場を企画した。熊谷さんは、その胸中をこう語っていた。

「カワウソをはじめ希少動物の保全活動を学びながら、それを実践することは『現存する野生動物を、二度と自分たちのようにはしないで欲しい』という、ニホンカワウソからのメッセージだと思うのです」

   80年代半ば、もともと漫画家志望だった熊谷さんはアニメーションの制作現場を経て、独立。学習漫画で動物を描く仕事が増え、日本の野生動物について勉強していた。ムササビ、タヌキ、キツネ、ノウサギ、カモシカなど日本各地の生息地を訪れ、生態や足跡を観察した。その度、動物図鑑に目撃マークをつけていた。

「ところが最後に残ったのがニホンカワウソ。"おやっ?"と思って調べると、その頃はもう絶滅寸前だったのです」

公益財団法人韓昌祐・哲文化財団のプロフィール

1990年、日本と韓国の将来を見据え、日韓の友好関係を促進する目的で(株)マルハン代表取締役会長の韓昌祐(ハンチャンウ)氏が前身の(財)韓国文化研究振興財団を設立、理事長に就任した。その後、助成対象分野を広げるために2005年に(財)韓哲(ハンテツ)文化財団に名称を変更。2012年、内閣府から公益財団法人の認定をうけ、公益財団法人韓昌祐・哲(ハンチャンウ・テツ)文化財団に移行した。

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