「人間と神の中間に位置する存在としての人間」
人間と地球環境の関係に関しては、数世紀にわたる展望が示されている。民主主義は、植民地や戦争という肉体的な闘争から、精神レベルの競争に進化し、国を越えて、意識を共有し、協力しやすくなった。仕事の多くは、他人との交流と情報交換が中心となり、モノとは違って他人に与えることがはるかに容易になった。核融合、超伝導、人工知能、自動運転などにより、ものの不足という問題が消えて地球上の自然を人類が大切に育て保護するようになると。こうした主張が、夢物語ではないと、いま、私たちは受け止められるだろうか。
ホモデウスという言葉をご存知だろうか。今年の3月に出版された世界的ベストセラーの書名でもある。まだ日本語版は出版されていないが、「人間と神の中間に位置する存在としての人間」である。近現代の西洋社会の思想を根本から見直そうという問題提起でもある。農業革命が一神教を、産業革命が科学的合理性を与えたように、ホモデウスは、地球を守り地球と共生する役割を果たそうとすると説いている。本書とホモデウスをあわせ読むことにより、日本に住んでいてはわからない、アメリカ社会の未来思想の一端にふれることができる。
(経済官庁 YK)