夏休みにリラックスして聴きたい、北欧フルメリーの「田園組曲」

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1曲あたりわずか2分程度

   そんな芸術的最盛期を迎えていたフランスに、フルメリーはやってきて、おそらく、かなり影響されたのでしょう、今日取り上げた「フルート、弦楽とハープのための田園組曲」もかなりフランス風な響きを持っています。

   全体は、5つの曲からなり、前奏曲・ガヴォット・サラバンド・シチリアーノ・フィナーレとなっています。タイトルだけ見ると、バロック時代に流行った、舞曲を並べた「舞曲組曲」のスタイルを意識して作られていますが、その響きは非常に近代的で斬新で、「新しいのに懐かしい」雰囲気を持っています。

   もともとこの曲は、近代になってオーケストラの楽器から独立して独奏楽器となったフルートを主役として書かれています。J.Pランパルなどの偉大なフルーティストを輩出したフランスはフルートが主役となる作品が多く生み出される「フルート・レパートリー先進国」で、そういった意味でも、フルメリーのこの曲は、どこか「フランス風」です。

   初稿はフルートをソロに、ピアノを伴奏として書かれていましたが、後に、彼は伴奏部分を弦楽オーケストラとハープの編成に書き直しました。すると、より一層、「広がる田園風景」が見えるほどのゆったりしたサウンドになり、大変人気が出ました。ちょっとした「フルート協奏的組曲」と考えてもよい弦楽伴奏版は、ピアノ版よりも演奏されることが多くなっています。

   組曲、といっても1曲あたりの演奏時間はわずか2分程度、全部合わせても12分に満たない、かわいらしい「組曲」です。夏のリラックスしたお休みの時期にゆったりと聴くのに、大変おすすめの1曲です。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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