「起業家は筋トレした方が良い」――あるIT企業の社長のこんなツイートが、多数の賛同とともに、ネット上で拡散している。
「起業家」と「筋トレ」、一見すると強い結びつきは感じないが、この主張は正しいのだろうか。専門家に話を聞いてみた。
佐々木俊尚氏も「オススメ」
投稿主は、クラウドソーシングサービスを手がける「ランサーズ」(東京・渋谷)の秋好陽介社長、36歳。
2017年8月5日、自身のツイッターで、経営者に必要な要素を満たしてくれる存在として、「筋トレ」を推奨している。
その理由として、(1)「経営に精神安定は不可欠。筋トレはテストステロンが分泌され脳が安定し、適度な疲労で深い睡眠に繋がる」(2)「何より筋トレは着実な実行で100%筋肉増加する確実性の高いタスク。不確実性の塊である経営の中に確実性がある安定感大事」――の2点をあげている。
このつぶやきは、2200以上の「いいね」を集め(8日時点)、
「激しく同意!確実性のあること、できることをいかに継続するか、できるか」
「だから最近寝つきが良かったのかな」
と共感の声が続出。ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、
「全力同意ですね。起業家に限らず、不安定な時代を生きる人は身体を鍛えて自分の軸としましょう」
と、起業家以外にも当てはまると提言した。
キーワードは「ホルモン」
秋吉社長がとなえた「自論」は、専門家の目にどう映るのか。
日本筋力トレーニング推進協会の佐藤健一代表理事は2017年8月8日、J-CASTトレンド編集部の取材に対し、
「その通りだと思います」
と、前述の主張を認めた。
「男性ホルモンの一種『テストステロン』の分泌による精神面の安定はもちろんですが、集中力や積極性が増す作用もあるので、会議でアグレッシブに議論したい場合などに一役買うでしょう」
と補足する。
加えて、筋トレ時に発生する「マイオカイン」「成長ホルモン」「セロトニン」の効果も指摘する。
「マイオカイン」は、筋肉自体から分泌する30種類あるホルモンの総称だ。これらが精神衛生の向上やアンチエイジングに貢献する。
また、脳の下垂体から出る「成長ホルモン」も、充足感につながるという。
「このホルモンは、筋トレ時とともに、眠りが深くなる『ノンレム睡眠』中にも分泌されます。筋トレをすると、適度な疲労で熟睡しやすくなるので、分泌を促しやすくなると言われています」
筋トレのように、一定の動作・リズムで反復運動すると発生するセロトニンは、別名「幸福ホルモン」とも呼ばれる。名前の通り、幸福感に寄与する働きをもつ。
どこの部位がおススメ?
それでは、どの部位を鍛えれば、これらホルモンが多く分泌されるのか。佐藤代表は「脚」をオススメする。
「脚は人体で最も筋肉が多い場所です。そのため、消費カロリーが多く、心拍数もあがりやすいので効果が比較的高いといえます」
また、「見た目効果」を狙うなら、男性であれば「腹筋」「大胸筋」を推す。
「見た目の変化が分かりやすい部分なので、成果を確認することで自信につながるでしょう。男らしさのアピールにもつながるでしょうし(笑)」