写真植字機メーカーのモリサワは2017年7月28日、同年秋にリリースする新書体を発表した。
縦組みの際に文脈を考慮した連綿体(文字を続けて書く書体)を呼び出せる「みちくさ」など、その数は17にのぼる。多彩な顔ぶれが、ツイッターで「モリサワすげぇな」「ついにフォントが連綿するように......ほあー」などと反響を呼んでいる。
歴史書物の字形を復刻したものも
2017年秋にリリースされるのは、人気書体・A1明朝の特徴を継承する「A1ゴシック」、「みちくさ」、歴史書物の字形を復刻した「きざはし金陵」、活版印刷のインクのにじみを再現した「秀英にじみ明朝」、大胆な筆使いの見出し用書体「黒曜」、98言語と海外の表記ルールに対応する「Citrine(シトリン)」だ。
モリサワのリリースに基づき、一部の特徴を紹介しよう。
「みちくさ」は、「ふところを絞った骨格と、やわらかく現代的なエレメントから構成される明朝体風のデザイン書体」。多種多様な連綿体や代替字形(前後関係に依存する書体)が用意されている。OpenType機能を使用すれば、縦組みの際に文脈を考慮した連綿体などが呼び出せるという。
「きざはし金陵」は、中国・明代の歴史書『南斉書』を元に復刻した「金陵」と、1893年に東京築地活版製造所で印刷された『長崎地名考』を元に復刻した和字「きざはし」をマッチングした書体。線画や骨格が画一的な近代のものと異なる、オールドスタイルな明朝体だ。
「秀英にじみ明朝」は、2009年にリリースされた「秀英明朝 L」を基にしている。線画に揺らぎや太さをランダムで持たせて、丸みの処理を施しており、アナログ感やレトロ感が醸し出されている。
ツイッターでは「連綿体で表記できるフォントってすごい」「すご~い!かな連綿好きなんだけど、活字では絶対再現できないと思ってたよ」などと、とりわけ「みちくさ」が注目を集めている。
17書体は秋以降、「MORISAWA PASSPORT製品」と「MORISAWA Font Select Pack製品」、クラウドフォントサービス「TypeSquare」で利用できる。
各書体の詳細や、リリースの日付などは、特設ページで追って発表される。