これがあるから高校野球は面白い、そう思わせてくれる一戦だった。
2017年7月24日、第99回全国高校野球選手権東東京大会の準々決勝、東亜学園対修徳の一戦で、文字通り「ミラクル」が起きた。8回裏を終え、7対1と修徳が大量リード。試合はこのまま終わるかに見えた。
6点差で2死2塁
修徳は、春3回、夏5回の甲子園出場経験をもつ東東京ブロック屈指の強豪校だ。98回大会では、準々決勝で関東一とぶつかり、9回に2点を奪われ2対3と逆転サヨナラ負けを喫した。雪辱に燃える今大会、準々決勝までの4試合で26得点、失点はわずか3と猛打・堅守が光る。
一方の東亜学園も、名の知れた常勝チームだ。昨夏は決勝戦で、こちらも関東一に惜敗した。延長10回裏にサヨナラ適時打を許し、3対4でゲームセット。甲子園にあと一歩及ばなかった。
昨年は1点に泣いた両チームだが、この試合は大きく点差が開いた。6点を追う9回表、東亜学園の攻撃は、先頭打者が2塁打を放つも後続が倒れ2アウト。あと一人の場面となった――だが、選手たちはあきらめなかった。敗色濃厚の中から、ドラマが生まれた。