98年以来の夏のアルバム
7月12日、彼らの14枚目のアルバム「SUMMERDELICS」が出た。秋から冬に出ることの多かった彼らのアルバムとしては、98年の4枚目「pure soul」以来の夏のアルバムとなった。
一曲目の「シン・ゾンビ」を聞いて耳を疑った。一瞬、アルバムを間違えたのではないかと思ったほどだ。ボカロと呼ばれるデジタルアイドルのような声で始まるポップロックはHISASHIが詞と曲を書いていた。でも、歌っているのはTERUである。明らかにGLAYでありながら、今までのGLAYと違う始まり。リーダーのTAKUROは、筆者が担当しているFM NACK5の「J-POP TALKIN'」のインタビューで「メンバーは反対したんですが、俺は絶対にあれが一曲目だと主張した」と言った。
アルバム「SUMMERDELICS」には、明らかにこれまでになかったことがある。
それは全14曲を4人が作曲していることだ。TAKUROとHISASHIが4曲、TERUとJIROが3曲ずつ。それぞれの個性が際立つと同時にGLAYというバンドの多面性につながっている。中でも、HISASHIのサブカル的センスは今まで見せてこなかったものだろう。
TAKUROは、こう言った。
「彼の才能は16歳の時から感じてましたけど、まだ世の中に受け入れられにくかった。バンドの方にもそれを送り出すだけの力量がなかったんです。でも、これだけアニメソングやボカロが当たり前になる中で、ようやくその時が来たと思ってました」
「90年代のバンドを見ていて、一人の才能が引っ張ってゆくことの難しさは感じてましたね。でも、俺には遜色のない才能の持ち主であるこの3人がいるじゃないか。12,3年くらい前からそう思ってました」
時期を待っていた、ということになるのだろう。
GLAYが最初に「G4」というシングルを出したのは2006年だ。その時はまだTAKUROの曲が主体だった。4人が書き下ろす形になったのは2011年の「G4・II-THE RED MOON-」、14年に出たデビュー20周年記念「BLEEZE~G4・III~」のメイン曲を書いたのはTERU、去年出た「G4・IV」はシングルチャート一位を獲得した。TAKUROは「「G4・IV」が今回のアルバムを決めた」と言った。アルバムの一曲目「シン・ゾンビ」は、その中に入っていた「彼女はゾンビ」を更にバージョンアップしたものだった。