「今、私が歌うべき曲に巡り会えた」
今年は、7月からホールツアーが始まっている。
彼女は、筆者が担当するFM NACK5の「J-POP TALKIN'」のインタビューでこう言った。
「全都道府県を一度に回るツアーは30年で初めてだったんです。学生時代に他の街にいて私のライブに来てくれて、今は、その街に住んでいるという方もたくさんいらっしゃる。子育てが一段落したり、仕事も部下に任せられるようになって余裕も出てきた、という方にもう一度、音楽を楽しんでもらいたい、という心境になってます。そういうこともあって、この『ボクはここに』は、今、私が歌うべき曲に巡り会えた、迫り来るものがありました」
新曲「ボクはここに」は、真心ブラザーズの桜井秀俊が詞曲を提供している。68年生まれ。渡辺美里ともほぼ同世代。同じレコードレーベルの後輩でもある。真心ブラザーズの名曲「サマーヌード」を更にソフィスティケートしたような洗練された大人のソウルミュージック。「一歩ずつ青春は遠ざかるくせに 大人になった気になれないのは何故なのだろう」という、歌詞の一節がキャッチコピーになっている。
ここにいる人と、いない人。あの時一緒だったけれど、今は離ればなれになっている人。「だけど今 ボクはここに そして今 君はどこに」という歌詞の中には「夏は あといくつある」という一節もあった。
夏は あといくつあるのだろう。
あなたは今年の夏をどんな風に迎えていますか。
渡辺美里の今年のツアータイトルは「M・Generation」。
「MISATO」の「M」であり「MUSIC」の「M」、そしてオーケストラバージョンがシングルのカップリングにもなっている「My Revolution」の「M」だ。
80年代90年代、音楽とともに青春を過ごした世代の今――。
彼女は、「まだ 僕はここに」と歌っている。
(タケ)