壮絶な体験に言葉が出ない学生ら
壮絶な体験を闊達な声で語る福島教授に学生たちは圧倒されたのか、質問を促されてもすぐに質問が出なかった。
やがて車椅子の韓国の学生が「一対一でなく、大勢の人と接する場所でもコミュニケーションは取れますか」と尋ねると、「私は今、皆さんとコミュ二ケーションを成立させていますよ」とほがらかに笑った。
緊張していた会場の空気が変わり、質問が相次いだ。
「障害者の中にも差別があります。自分と違う差別を持つ人の辛さを想像できることが大切です」
と福島教授が説いた。
交流会を立案した群馬大学の任龍在准教授が、最後にこう語った。
「自分たちとは異次元の障害を持ちながら常に前向きに生きる福島智先生の人柄に、韓国の障害者学生たちがすっかり魅了されて、不思議な体験をしました。今回の日韓交流で、留学への希望、語学への意欲も高まりました。彼らの中からグローバルリーダーが育ってくれることを期待しています」
(文・ノンフクションライター 村尾国士 写真・菊地健志)