一人暮らしを見事に実現
その好例が7月2日に群馬大学で行われたシンポジウムだ。シンポでは自分の夢を実現した2人の日本人障害者が、日韓の障害者学生たちを前に、みずからの体験を語った。
一人目は「肢体不自由者の一人暮らし」というテーマで、群馬県在住の宮内康裕さん(40)。
脳性小児麻痺児として生まれ、全身性の運動障害と言語障害を持つ宮内さんは、24歳まで親元で暮らしていた。だが親が亡くなった後のことを考え、一人暮らしを決心した。
壁はいくつもあった。まずは住居探し。当時ネットで調べても車椅子で生活できるアパートがなく、役所や施設を訪ね歩き、ようやく見つけることができたという。
次に、日々の生活の壁。ヘルパーさんの介助なしに食事も排泄もできない。ヘルパーさんとの人間関係に悩んだこともあったが、16年経った現在、パソコンを使って仕事をし、おしゃれやショッピングが好きで外出を楽しむまでになった。
ある日、尿意を催してショッピングセンターの店員にトイレに連れて行ってもらったこともある。お礼の電話をすると、「ぜひまた、行らしてください」と嬉しい言葉をもらった。
聴衆の障害者学生たちは一人暮らしが夢物語ではないことを実感したのか、「親は反対しなかった?」「生活費はどうやって?」など具体的な質問が相次いだ。