ひし形に五角形...畳を「再発明」 アルゴリズムで可能性広がる

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製作のきっかけは「震災」

   宮城県石巻市で、藁畳床(わらたたみどこ)の製造会社として1946年に創業した「草新舎」。「国産伝統素材を積極的に利用し、畳を通して日本文化の継承発展に貢献する」を理念とし、畳は、一枚一枚職人の手作業で仕上げられる。

   現在では、畳の製造・施工の専門店として、社員数5名と少数精鋭ながら、国宝・重要文化財を含む寺社仏閣や、地元の公共施設などに畳を納入している。

   この斬新な畳はどういう経緯で誕生したのか。3代目社長の高橋さんは、

「きっかけは東日本大震災でした」

と話す。

   構想は10年以上前からあったというが、実際に製品化を目指したのは、自社工場の被災経験だった。震災後はしばらく営業がままならず、12年5月ごろに再開のめどが立つも、得意先も津波や地震の被害にあっていたため、仕事の受注が激減した。

   この「空白期」に、「伝統的な畳を守るため、その利用範囲を広げたい」というかねてからの問題意識も相まって、製品化に向け動いた。

   変形技術はすでに持っていた。200以上の寺社仏閣の仕事を続ける中で、寺の丸い柱や斜めの廊下にあった畳の加工技術を確立していたのだ。その技術を生かし、13年1月に変形畳「草新シリーズ」を販売開始した。

   一方で限界もあった。「例えば市松模様のように、正方形や平行四辺形で敷き詰めていく畳のラインナップでした」という高橋社長。せっかく形状を工夫しても、床材として和風の域を出ないことが悩みだった。

   そんな折、外部のクリエイターとのコラボレーションから新しい形状が生まれた。それが「エクスティー」誕生につながる。

   コンピューターアルゴリズムを使ったデザインを設計支援ツール「CAD(キャド)」で図面にして設計する。これを採用したことで、デザインの自由度が増し、複雑なパターンの畳を製作できるようになった。

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