輸入が安定していれば食糧危機とは無縁? 中国モンサント社長「持続可能な農業はアジアにこそ必要」

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農業分野の投資規模は小さい

   ところで、中国では遺伝子組換えはどのように受け止められているのだろうか。ガオ氏によると、インターネットを介してネガティブな情報を得て信じてしまう人もいる一方で、綿やパパイヤなどはすでに遺伝子組換え作物が栽培されており、遺伝子組換えトウモロコシや米も検証が始まっているという。

「遺伝子組換え技術自体は農業だけでなく、医薬や洗剤の酵素などにも活用されていますが、農業における遺伝子組換えのみが批判対象となっています」

   一方で遺伝子組換え作物の作付面積は年々増加し続けており、2016年には世界で1億8510ヘクタールに達している。

「もし問題があるなら世界中で面積が拡大することがありません。客観的なデータからも収量や収益が上がることが確認されており生産者のベネフィットはもちろん、食糧自給やコストの面で国や消費者、さらには環境へのベネフィットも大きい技術が遺伝子組換えなのです」

   同時にガオ氏は「モンサントはひとつの技術だけでのイノベーションは求めていない」とし、

「遺伝子組換えやデータサイエンスだけでなく、従来育種(品種改良)や農薬・肥料、土の中の微生物を利用する農業用生物製剤など、複数の技術を組み合わせて、生産効率と持続可能性を最大限に高める農業ソリューションを提案します」

   と語る。しかし、農業分野の研究開発への投資額は医薬品や自動車、ITなどに比べると非常に小さい。例えばネスレやモンサント、シンジェンタなど代表的な農業分野の企業5社の研究開発費の合計ですらトヨタ一社の研究開発よりも少ないのだ。

   ガオ氏はイノベーションを進め、技術によるより大きなベネフィットを得るためにも、モンサントとバイエルのような企業の合併によって研究開発への投資を拡大する必要があるだろうと指摘しセミナーを終えた。

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