「結婚行進曲」は間奏曲
少年時代に作った「序曲」から、16年後、メンデルスゾーンはあらためて「劇音楽 夏の世の夢 Op.61」を作曲し、完成させます。少年時代にピアノ連弾で作曲した「序曲」は、管弦楽編成作品として編曲され、正式な「序曲」として採用されます。
オペラではないので、劇はセリフだけの部分や、間奏曲として音楽だけの部分があり、進行してゆきますが、特にこの転用された「序曲」と、セリフのみの第1幕のあと、第2幕をつなぐ場面で演奏される「スケルツォ」そして、第4幕と第5幕の間に間奏曲として演奏される「結婚行進曲」は名高く、現在でも世界中で演奏されています。夏至=6月は、ジューンブライドの季節でもありますね。
わずか38歳の若さで亡くなった天才メンデルスゾーンが、「劇音楽 夏の夜の夢」を完成させたのは1842年、つまり死のわずか5年前でした。結果的に、この作品は、若き彼と、円熟期の彼がコラボした、彼の文字通り代表作となります。
夏至が近いこの時期に、シェイクスピアに触発されたメンデルスゾーンが描いたファンタジー世界を、ぜひ聴いてみてください。「結婚行進曲」も少し違って聴こえるかもしれません。
本田聖嗣