もう若くはないと知った年齢の夏
新作アルバム「sunny day」は、24年ぶり3作目のミニアルバムである。過去の2枚「Smile」「Say Hello」も通常のフルアルバムとは少し違うコンセプトで作られてきた。今作も、そういうアプローチがなされているのが大きな特徴だろう。
それは「年齢相応」ということだと思う。
水着姿の女性に目の色を変えていた若い頃とは違う夏。そこで出会った女性と結ばれ家庭を持つようになった年齢だからこそ愛おしいと思う夏の記憶。年を重ねる中で少しずつ増えてきたそんな夏の歌に焦点を合わせたアルバム。メンバー全員が50代になってからレコーディングされた初めてのアルバムでもある。
収録された6曲の中に象徴的な曲があった。いつもは作詞を前田亘輝に任せて作曲に専念するギターの春畑道哉が曲だけでなく作詞もしている「スタートライン」である。彼は「セルフライナーノーツ」で自らこう書いている。
「テーマを応援ソングで書いてみようと思ったのですが、パーソナルでリアルな歌詞の方が、、、というアドバイスを頂き、2人の息子達へ宛てた内容にしました。野球をずっと続けて来て、甲子園の夢は叶わなかったけど、これからが人生のスタートラインだ!!という歌です」
それぞれの夏、もう若くはないと知った年齢の夏――。
白球を追ってグランドを駆け回る高校球児の夏に向けたエール。自分の青春よりも息子の青春を歌にする。人生には思うようにならないこともあると知った息子の夏に向けた歌。アルバムの中のどの曲もテーマは「笑顔」だ。
何歳になっても夏の記憶は色あせない。
ともにあの頃を過ごした友人も、今、一緒に暮らす家族たちも、笑顔の日々が過ごせますようにーー。
今年も「TUBEの夏」がやってくる。
恒例となった横浜スタジアムは、8月19日だ。
(タケ)