ライバルは京都よりも県内の隣接市か
リニア中央新幹線は、時速500kmで走行する超伝導リニアモーターカーにより東京都~大阪市を約1時間で結ぶ、夢の超特急だ。15年12月には品川~名古屋間約286kmの工事が先行スタートし、同区間の27年開業を目指す。中間駅は「1県1駅」の方針に沿って、神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市にそれぞれ設置される(山脈内の静岡県を除く)。
名古屋~大阪間は45年開業予定で調整が進められており、現段階で正式なルートは決まっていない。16年7月にJR西日本の柘植康英社長が行った記者会見によれば、奈良市付近を通るルートで作業を進める考えを明らかにしたものの、京都の行政や財界は「国際的な観光都市の京都を通すべき」と主張している。東海道新幹線の新大阪駅や新横浜駅を例に出すまでもなく、リニア駅設置によってその周辺が発展するのは確実で、危機感を持っているからだ。
現状では奈良優勢と見られる一方、県内は必ずしも一枚岩ではなく、生駒市、大和郡山市、奈良市がそれぞれ中間駅の誘致合戦を行っている。生駒市は「東のつくば(筑波)」と並び立つ「関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)」の玄関口に成り得るメリットを主張し、大和郡山市は奈良県の人口重点の真ん中に位置していることを強調する。そして奈良市は最も早くから誘致に取り組んだ実績と、県下最大の交通結節点であることをアピールしている。
直線ルートをとるならば、生駒市か奈良市のどちらかに絞られる。そして生駒市は大阪府に近すぎるという弱点がある。普通に考えれば奈良市有利に思えるが、果たして――。