ある日、突然事故に会う でも諦めることはない ROGUE、不屈のバンド

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もう一度チャンピオンめざすみたいな

   すでに新作アルバムも出ている。2014年には古巣だったポニーキャニオンから「終わりのない歌」のセルフカバーも交えた「REAL AGAIN」、去年の秋にはフォーライフレコードから全曲新曲の「DESOLATION ANGELS」が出た。少なくとも、アルバムを聞いてヴォーカルが車椅子だと思う人は皆無だろう。年期の入ったロックバンドの満を持してのアルバムと思うはずだ。「DESOLATION ANGELS」には、奥野敦士の赤裸々な心情も綴られている。

   「やるしかないと誓ったその日 地獄に落ちた 未来が見えた」

   「辿り着けない 目の前の明日 地獄に落ちた 未来を救え」

   「my song 俺に力を my friend 俺に 勇気を」(「GIVE ME A CHANCE」)

   「自分の中から出てくる言葉で共感してくれればと思うし。言葉を書くのが好きになってる。こんな身体でも脳みそは動いて人の気持ちも分かる。障害者のファンの方も多いし、彼らの希望にならないと。そこは昔と違うかな。若い頃はいい加減に書いてたなあと思います」(奥野敦士)

   「数奇なバンドだなあと思いますね。普通は解散した時点がピークでしょうし、それが良い記憶になるんでしょうけど、僕らは一度は、KOされたボクサーがもう一度チャンピオンを目指すみたいな形でしょうし。目に見えない運命みたいなものがある気がしてます」(西山史晃)。

   6月21日、入手不能だった87年のアルバム「VOICE BEAT」と88年の「SERENADE」も新たにマスタリングされて再発売される。24日には5回目の「GBGB2017」が開かれる。収益は障害者施設への福祉車両寄贈として形になる。Mr.Childrenは去年出場した。今年はF-BLOOD、Chara、FLYING KIDS、Respect up beat ら、もちろんROGUEも出る。

   「夢は、こういうコンサートが全国に波及すること。ノウハウは差し上げます。奥野をパラリンピックで歌わせたいんです」(香川誠)

   ある日、突然事故に会う。

   そして、身体が動かなくなる。

   それは誰にでも起こる事でもあるのだろう。

   でも、諦めることはない。

   彼らは身をもってそう歌っている。

(タケ)

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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