礼儀、気遣い、おもてなし――。
日本の顧客サービスには、たくさんの心遣いがあふれているが、日本と世界の各都市では、意識に大きな差があることが、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルの調査で明らかになった。
調査は、日本を含む9市場(日本、米国、カナダ、メキシコ、イタリア、英国、インド、香港、シンガポール)で各1000人ずつ計9000人の消費者に対して、顧客サービスに対する意識や考え方をインターネットでアンケートをとったもの。(調査期間は2016年12月~17年1月)
1番「寛容」だったのは香港
まずは、企業の顧客サービスの感想について。
「一般的に企業の顧客サービスにはどのような感想をお持ちですか?」という問いに対し、日本は、「期待を上回る顧客サービスを受けている」(4%)、「期待通り」(41%)を合わせても45%と半数を割り、9市場中で群を抜いて低い結果となった。
たとえば米国では、「期待を上回る(15%)/期待通り(66%)」の合計は81%、インドでは、「期待を上回る(15%)/期待通り(63%)」と78%、カナダも合計76%、第8位のメキシコでさえ合計60%になっている。
さらに、「購入先の変更を検討する前に、何回までならひどい顧客サービスを我慢できるか」の問いに対しても、「1度でもただちに別の会社に変える」と答えた日本人は56%。日本に住んでいれば、まあそんなもんかな、という気もするが、世界は結構ガマンするようだ。
日本以外の8市場では23~37%で、大半の人が「2回か、それ以上は我慢できる」と答えている。
ちなみに1番「寛容」だったのは香港。「1度でNG!」なのはわずか23%だった。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の野﨑俊一教授は、この数字を見て、
「日本人は一度でもひどい顧客サービスを受けた場合、クレームよりも他企業を選択するスイッチを働かせる傾向が強い。他方、顧客サービス提供の発展途上段階にあるインドでは、質の高いサービスを提供できる供給者数が少ないため、良質のサービスを提供する企業は競争優位性が高まると考えられます」
と、考察している。