「世界中のベンチをこれに変えて欲しい」――。
幸福学研究の第一人者がこう太鼓判を押す、斬新すぎる「ベンチ」をロッテアイス(東京・新宿)が開発した。
8割が「気分転換」を実感
製品名は『爽ハッピーベンチ』。2017年6月8日、都内で開かれたプレス向け披露会で、実物が発表された。
あの、夏の定番アイス「爽」が掲げる「NO THINK 爽ハッピー!」のコンセプトの下企画されたもので、食後さわやかな気分に包まれる「爽」の特徴を踏まえ、慶應義塾大学大学院で「幸福学」を研究する前野隆司教授が監修し、デザイナーの太刀川瑛粥(えいすけ)氏によって製作された。
会場には、ポツンと一台、いたって普通のベンチが設置されていた。さわやかなブルーの塗料が塗られ、スタイリッシュなデザインではあるが...。不思議に思いながらも、近づいて目を凝らすと4本あるはずの脚が、前の2本しかない。
そのため、腰掛けると自然に後ろに傾くなんとも不思議な作りとなっている。これは、「上を向くと幸福度が上がる」という前野教授の研究に則り、自然と上を向けるようにしてある。
披露会に出席した前野教授は、
「スマホ社会の現代では、下を向く機会が増えています。ですが、上を向くことで気道が広がり呼吸が深くなることで気分が前向きになり、また、新緑や空など周囲の景色が自然と目に入ってくるのでリフレッシュすることにつながります」
と話す。
実際に、『爽ハッピーベンチ』を体験した男女112名にアンケートしたところ、83.1%が「気分転換」を実感し、64.2%の人が「ハッピーな気分」になったと回答した。
野球漫画の名作『タッチ』(あだち充作)を思い浮かべながらベンチをデザインしたという太刀川氏。こだわりをこう話す。
「1人でももちろん爽快感を感じていただけますが、1人と2人の時で体験が違うように設計してあります。2人だとより傾斜が深く、より上を向きやすくなるので、カップルで予期せぬ揺れを楽しんだりと青春感も楽しんでいただけるかと思います」
記者も実際に体験したが、小気味よい揺れを感じながら上を向いて伸びをすると、実に気持ち良かった。ぜひ弊社に欲しい...。ベンチは、2人がけで耐荷重180キロだ。