【スポメディア・ウォッチ】
テニスの全仏オープンで男子シングルス8強に駒を進めた錦織圭だが、WOWOWでの中継で解説を務める松岡修造氏は2017年6月5日付「スポニチアネックス」への寄稿で、「あれだけプレーにリズムがない圭も珍しかった」と見ている。
最大の原因は迷いから来るメンタル面の「弱さ」。ターニングポイントになり得た第2セット第2ゲームでは「ここでラケットを投げたら終わりだ」と不安を抱いていたという。
「一言で言うと下手な圭」
錦織は全仏オープン4回戦でスペインのフェルナンド・ベルダスコと対戦し、0-6、6-4、6-4、6-0の3-1で2年ぶりに準々決勝に進出した。
逆転勝利の錦織だが、松岡氏はこの試合を「一言で言うと下手な圭。この前の3回戦(編注:韓国の鄭現(チョン・ヒョン)戦)の勝ち上がりと練習でのリズムの良さを見ていたら、あのプレーはあり得ない」と厳しい視線を向けている。今季の錦織には、集中力とメンタルの迷いに問題点を感じており、「迷い=弱さ」だとする。そしてベルダスコ戦では「それがとことん出た試合だった」という。
松岡氏は、錦織は「第1セットは捨て」たと見た。第2セットは第1ゲームでいきなりブレークしたが、続く第2ゲームは3連続ミスで即座にブレークバックされた。この時「弱い態度がまた出た。ここでラケットを投げたら終わりだ。チョン・ヒョン戦のラケット破壊行為をフラッシュバックしつつも、『ラケットは友達だ』と念じ続けていた」。
そのかいあってか、錦織はあわやラケットを投げる格好をみせたものの、粘り強く戦った。第2セット5-4まで持ち込むと、第10ゲームで再びブレークを奪ってセットカウント1-1に戻し、尻上がりに調子をあげた。1ゲームも落とさなかった第4セットを松岡氏は「一番生き生きとプレーしていた」と見ていた。
松岡氏は、錦織のプレー自体は「凄く良い状態」であり「圭にとって一番の救い」だとするが、準々決勝の相手は世界ランキング1位、英国のアンディ・マレー。「この日の第1セットのような弱さを見せたら、とことんやられてしまう」と、悲願の優勝に向けてメンタル面のタフさを求めた。