奥田民生からchayまで顔ぶれ多彩
2017年6月7日、彼が企画制作した吉田拓郎トリビュートアルバム「今日までそして明日からも、吉田拓郎 tribute to TAKURO YOSHIDA」が出る。
それだけの存在でありながら、これまでトリビュートアルバムらしいものが殆どない。
なぜかという答えは簡単だ。
彼の存在感が強すぎるからだ。
客席を圧倒する歌の力強さやカリスマ性を超えられない。他の人が歌った時に違う味わいが出せない。吉田拓郎のツアーバンドのリーダーであり、松任谷由実のツアーの音楽監督を30年以上にわたってつとめているキーボーディストならではの解釈とアレンジで、「拓郎メロディー」の新しい魅力を引き出している。「LOVE LOVEあいしてる」の音楽監督も彼だった。
「華やかなものにしたかったんですね。拓郎フォロワーと言われる人たちが歌う男の歌、というアルバムは今までもあったと思うんですが、そうじゃないものにしたかった。鍵盤中心にするとオシャレなアレンジになる。メロディーの持つ繊細さとか、ロマンチックな情感。僕が拓郎さんのライブで演奏する時には、絶対にこういうアレンジではやらないだろうなというアプローチだから良かったんだと思います」
曲は、拓郎マニアでなくても誰もが知っている代表曲。歌っているのは、高校の後輩の奥田民生、90年代生まれのchay、Mrs.GREEN APPLE、弾き語りの竹原ピストル、両親が聞いていたという鬼束ちひろや一青窈らの個性派女性、同世代の井上陽水や高橋真梨子、カバーの大御所、徳永英明、自分で歌いたいと名乗り出た織田哲郎、公私ともに親交のあるTHE ALFEE、やはり広島の後輩のポルノグラフィティ...。
原曲とは世界を一変させてしまったような曲もある。女性が歌う事でメロディーが際だった曲もある。稀代のシンガーソングライター曲から「歌」を外した時に何が見えてくるのか。
メロディーメーカーとしての吉田拓郎。トリビュートアルバムの面白さというのは、こういうことを言うのだと思う。
(タケ)